標準の代理コード:ダイヤトニックによるコード進行その②:知識ゼロからのギターコード攻略(28)

もっともシンプルなコード入れ替えのアプローチ

次はこの入れ替えをやってみます。いわゆる「代理コード」です。今回は7つダイヤトニック・コードの中から選んでコードを入れ替える例を紹介します。


この他にも、コードを入れ替える方法には種類があり、ノン・ダイヤトニック・コードを使う方法(たとえばセカンダリードミナントや裏コードなど、ダイヤトニック・コードを少し変化させたものからダイヤトニック上に無い音をルートにしたコードを代理で使うなど)、やマイナーキーにおけるダイヤトニック・コードの使用法まで様々な可能性があります。これらについては順次採り上げてゆきます。


まず一番シンプルな代理コードからいきましょう。ダイヤトニック上に現れるコードのみ使って、その「機能」が同じものを入れ替えるというアプローチです。

「機能」という視点で7つのダイヤトニック・コードを分類

まず以下に7つのダイヤトニック・コード全てを機能別に分類してみます。下の五線譜を見るとおわかりかと思いますが、左右に並べてある2つのコードは全く同じ音(構成音)を3つ含んでいます。機能が同じということは、響きの面でも共通点が多いということです。

 ※ダイヤトニックの機能について参照記事:

  音楽のタネあかし!?ダイアトニックコード②:知識ゼロからのギターコード攻略(16)

  音楽のタネあかし!?ダイアトニックコード③:知識ゼロからのギターコード攻略(17)

トニック:ⅠMaj7とⅥm7、ⅠMaj7とⅢm7
トニック:ⅠMaj7とⅥm7、ⅠMaj7とⅢm7

「トニック」コード

 

 (標準)ⅠMaj7

 (代理)Ⅵm7・Ⅲm7

ドミナント:Ⅴ7とⅦm7(b5)
ドミナント:Ⅴ7とⅦm7(b5)


「ドミナント」コード

 

 (標準)Ⅴ7

 (代理)Ⅶm7b5

 


どちらもドミナントコードの特徴であるトライトーン(※)含んでいます。

 ※参照記事:音楽のタネあかし!?ダイアトニックコード③:知識ゼロからのギターコード攻略(17)

 

サブドミナント:ⅣMaj7とⅡm7
サブドミナント:ⅣMaj7とⅡm7


「サブドミナント」コード

 

 (標準)ⅣMaj7

 (代理)Ⅱm7

ダイヤトニック・コードを使った代理コード進行

では実際に前回扱った「ふるさと」の末尾4小節部分の基本的なコード進行を、代理コードで入れ替えたバージョンについて見てゆきます。

 

なお、譜例に表示してあるコードダイヤグラムは特に「一人ギターだけでソロギターっぽく」弾いてみたい人用に付けてあります。この講座は、あくまでも「簡単なコードフォームでコードを鳴らしながら、メロディは自ら歌う」というスタイルで「コード(進行)の響きを確認する」のが主な目的ですのでご了承くださいませ^_^;

①Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ

「ふるさと」 T-T代理-SD代理・D-T 進行例
「ふるさと」 T-T代理-SD代理・D-T 進行例

3コード(主要三和音)であるⅠⅣⅤ以外を用いたコード進行として最も典型的な例です。Ⅰをただ引き延ばすよりⅥに変わることで膨らみが出て、ⅣがⅡになることで奥ゆかしく聞こえてきます。この「ワン・シックス・ツー・ファイブ」進行は特にジャズではよくあるコード進行の代表格として知られています。


「Ⅱ-Ⅴ(-Ⅰ)」というコード進行は、「ツー・ファイブ」(もしくは「ツー・ファイブ・ワン」)と呼ばれる、トニックコード(Ⅰ)へ終着する滑らかかつ安定したカデンツ(コード進行の終止形)の最たるものです。

①Ⅰ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ

「ふるさと」 T-T代理-SD・D-T 進行例
「ふるさと」 T-T代理-SD・D-T 進行例

この例では二点ポイントがあります。一点目は、それほど代理コードを多用せずともベースラインの動きを工夫してコード進行に面白みを出せるという点です。今の場合、ⅠのあとⅢⅣⅤと続くコードの流れは音階上をなめらかに上昇しており、ベースがこのとおり「EFG」と演奏すると穏やかな上昇感を演出できます。


二点目のポイントですが、「ソ・ソ・ソ ドーレ・ミ」の「ド」=C音がEm7のコードとぶつかると人によっては違和感を覚えるのではないでしょうか。この音はアボイドノートと呼ばれます(ダイヤトニック・コードの各コードには「ちょっと避けたほうがいい」あるいは「扱いに気を付けるべき」音が存在しており、それをアボイドノートと言います)。アボイド(Avoid=避ける)とは言え駆け抜けるフレーズの中の1つの音だったり、聞く側の解釈の仕方やによっては問題なく通り過ぎてゆく音でもあります。ですのでこのふるさとの譜例中の部分も「何だかいい感じだな」と感じる方もいれば「ちょっと歌いにくい、しっくりこないな」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。後者の場合は、Ⅲm7→ⅠonⅢ(Ⅰ/Ⅲ)のコードに捉えなおすというのも良いでしょう。譜例の2小節目にコードが上下に二つ書いてあります。上はEm7にメロディのC音が付されているコード(構成音:EGBD+C)、下はCMaj7のベースノートが⑥弦のE音になったコード(構成音:EGBC)です。そうです、違いはD音が入っているかいないかですね。

①Ⅲ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅶ-Ⅰ

「ふるさと」 T代理-T代理-SD代理・D代理-T 進行例
「ふるさと」 T代理-T代理-SD代理・D代理-T 進行例

主音であるⅠのコードが結局最後1回のみで、またⅣもⅤも使われていないというケースです。前回の記事で紹介したようなシンプルなバージョンと比べるとかなり違っていますよね。こういうことが可能なわけです。今回紹介したルールに基づいて、色々と入れ替えてみると面白いコード進行が作れるかもしれません、ぜひ自分自身で「新たなコード進行のふるさと」を作曲(編曲)してみてはいかがでしょうか?ただ、理論はあくまで理論です。理論的には○だけど、聞いた感じが面白くなかったという例はいくらでもありますので、自分の耳を信じてより美しい素晴らしい魅力的なコードを、見つけてみてはいかがでしょうか。



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