ダイヤトニック・コードの各機能:音楽のタネあかし!?ダイアトニックコード③:知識ゼロからのギターコード攻略(17)

前回はダイアトニック上の7つの音の名称とコードを挙げました。メジャースケールというⅠ種類の音階から導き出される基本コードがどういったものなのか既に明らかになったということでしたね。今回はその7つについてもう少し詳しく紹介したいと思います。はじめにコード動き方について補足を加えておきます。

 

 

 

コードの動き3種類

ダイアトニック上のコードは、①歩く、②走る、③ジャンプする、とでも表現したくなるような、次の3つの動きに全て集約されます。
 
 
①2度進行「歩く」
:隣接する音つまり2度上の音・2度下の音(これは7度上の音と同じになる)へ移行
 
②3度進行「走る」
:3度上・下の音へ進行(3度下の音は6度上の音と同じ)
 
③4度進行「ジャンプ」
:4度上の音(5度下の音と同じ)の音へ進行するあるいは、4度下の音(5度上の音と同じ)へ進行
 
 
お気づきでしょうか、この3つの動きしかないのです。7度の音まで全て含まれていましたね。このことを知っているとコード進行を理解するのに大変役立つでしょう。
 
 
 
 

ダイアトニック上の7音の位置関係とコードタイプ、そして特徴

下図は12半音階の円に、Cメジャーのダイアトニックコードを表示したものですが、これによって何となく位置関係がイメージできるのではないかと思います。続いて、それぞれのコードの個性についてまとめてみます。

DiatonicCircle
ダイアトニック・サークル

 

Ⅰ(「トニック」主音)

位置(度数):スケール上の出発音、完全1度

コードタイプ:Maj7

サウンドの特徴:最も帰着感が強く安定感が感じられ、曲の終わりにこのコードが来るのが普通である。もちろん例外もある。

 

 

Ⅴ(「ドミナント」属音)

位置(度数):主音の完全5度上(完全4度下)

コードタイプ:7(ドミナント7)

サウンドの特徴:このドミナントセブンというコードを鳴らしたままにすると宙に浮いたような未解決感が漂い続ける。その不安定感を解消すべくトニックへ進行しようという力を持つコードである。そしてその働きはダイアトニック上の他のコードと比較して最も強い。これは譜面にあらわすと分かりやすい。図のG7の「ファとシ」の音程は「トライトーン」と呼ばれる不気味なサウンドで、それぞれ半音隣の音「ミとド」に解決しようと働く。このⅤ7からⅠへのコード進行は「ドミナントモーション」と呼ばれる。

トライトーンとドミナントモーション
トライトーンとドミナントモーション

ただしポピュラー音楽の実際ではⅤのあとⅣへ進行する例もしばしばある。

 

 

 

Ⅳ(「サブドミナント」下属音)
位置(度数):主音から完全4度上

コードタイプ:Maj7

サウンドの特徴:Ⅴに次いで不安定に漂っているように響くコードで、ドミナントコードほどの強い意志は感じられないもののトニックへ解決しようとする。もしくはその他のコードへ進行しようとする働きを持つ。Ⅳ-Ⅰであったり、Ⅳ-Ⅴ-Ⅰというコード進行がよく聞かれるはず。

 

 

 
Ⅶ(導音)とⅡ(上主音)

位置(度数):Ⅶ、導音は主音の隣に位置し、度数で言うと2度下。ⅡはⅦと同じく主音の隣にあり2度上にある音。

コードタイプ:Ⅶm7(b5)、Ⅱm7

サウンドの特徴:Ⅶは主音から半音下という一番近い位置にある音なので、主音へ引き寄せられる感じが強い。コードにした場合も同様な働きを持ちうるが、ドミナントコードの場合に比べるとその引力は強くない。Ⅱは、導音と同じく主音の隣にあり、半音ではなく全音上にある音。音程間隔は導音より半音遠いため比較的弱いものの主音へなめらかに進行する。

Ⅶはドミナントコードの代用に、Ⅱはサブドミナントの代理コードとして使われることも多い。ジャズなどのコード進行ではⅤの前にこのⅡをかませてⅡ-Ⅴ-Ⅰという例が頻繁に見られる(「ツーファイブ(ワン)」と呼ばれる)。

 
 
 
 Ⅲ(中音)とⅥ(下中音)
位置(度数):トニックから上下三度の隔たりである中間音でⅢは主音から長3度上、Ⅵは短3度下に位置する。
コードタイプ:ちらもm7
サウンドの特徴:コード構成音にトニックコードとの共通音が最も多いため、トニックコードの代理を成しうる。トニックの代わりにこれらのコードに一旦終止することができる(「偽終止」と呼ばれる)。
 
 
 
このように、ダイアトニック上の7つの音、コードはそれぞれがはっきりとした特徴・機能を持っています。ほとんどの音楽(調性音楽)はこれらのコードの機能をふまえてコード進行が組まれているのです。
  
この違いに着目して普段聞いている音楽を聴き返してみたり、ギターで音を捜してみたりすると、理解が深まるかもしれません。ぜひ一度トライしてみてください。


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