メロディそのものを変える:この曲どう料理する?ギタリストのアレンジ術40策(37)

変奏曲で有名なバッハのゴルトベルク

今回はメロディラインのアレンジの続きということで行きたいと思います。この楽譜は有名なJ.S.バッハ作曲「ゴルトベルク変奏曲」の主題であるアリアです。

 

メロディのアーティキュレーションというところを前回やりましたが今度はメロディの音符、音程や音型そのものに手を加えるということについてお話します。

よく、クラシックの曲においても「○△変奏曲」とか「□◇の主題による24のバリエーション」とかいう、ある一つのもとネタ(曲、メロディ)から何通りにも違った弾き方をするたぐいの楽曲がありますよね。

 

また、ジャズのスタンダード曲の演奏を聞くとたいがい、1番は何の曲かよくわかるメロディが聞かれるのに2番(2周目)以降はアドリブ演奏となっており時には曲のタイトル名を疑うほど違うメロディになっている・・・というのが常です。

 

どちらも、同じ、元になっているシンプルなテーマからじつに様々なアイデアを持ち込んで曲を膨らませながら何回も何回もその曲を繰り返し演奏しているということが起きています。譜面化された作曲と、即興演奏という方法の違いこそあれ・・・

 

 

今回は「変奏」という視点でアレンジを考えるときの、ヒントとなりうる2つ方向性を紹介します。

①メロディラインを主体とした変奏

 

②コード進行を主体とした変奏

①について。メロディラインを大方残しながら、例えば歌い始めの部分にトリルやターンをつけてみたり、ある部分のメロディを本来より手前の拍(小節)に突っ込ませたり、といった変え方。背後のコード進行を変えるのもいいでしょう。コード進行を変えても全くメロディラインを変えなくても良いハーモナイズが得られることもありますが、コードとメロディ(スケール)との相性が合わなくなってしまう場合は、その部分のメロディの音程を半音ずらすなど調整する必要もあるでしょう。

 

②について。コード進行に合わせて即興的にメロディやフレーズを展開するという、ジャズやロック等のアドリブ演奏も一つの変奏と言えます。同じコード進行上に別のメロディを作ったと言ってしまえばそれまでですが、アプローチの方法としては曲のアレンジに役立つと思います。そのコード進行自体まで変えて元々のメロディ(曲)からさらに離れた感じを出すことも出来ます。

 

ということで今回はマインド論に終始しましたが、メロディに変化を与えたいという時に、上記2つの変奏のアプローチを考えることで可能性を開くことができますので、ぜひご参考に。


前の記事<<「この曲どう料理する?ギタリストのアレンジ術40策(37)」>>次の記事

「この曲どう料理する?ギタリストのアレンジ術40策」目次