ギター奏法の全貌と分類:アコギ系・クラシック系・ジャズ系・フラメンコ系

ギター奏法には様々なものがあります。同じギターという楽器が実に様々なジャンルに使われ、かつその使われるシチュエーションも独奏であったりバンドの中のパートであったりボーカルや他の旋律楽器、あるいは舞踊の伴奏であったり多岐に渡っています。ここではガットギター(ナイロン弦)、アコースティックギター(スチール弦)といった生音のギターを主に扱いますが、まずはざっと大まかに4つのジャンルに区分して(と言っても、完全に切り離すことが出来ないのは言うまでもありません)、おおよそこんな技が使われていますよ~的なお話をしたいと思います。

 

ギターという楽器は、独奏楽器としての側面と、伴奏楽器としての側面の、両方があるのはご存知かと思いますが、より高度な伴奏法はソロギターに通じますし、より音楽性の高いソロ楽曲には伴奏のみを行うときと同じようなリズムの躍動感や自由度が見事に表現されているものです。つまりこれもまた両者切り離すことの出来ない関係と言えますね。

 

ここではアコギ系・クラシック系・ジャズ系・フラメンコ系という4つの大きな枠組みで捉えることにしています。ハワイアンやフォルクロ―レ、カリビアン、アイリッシュなどの民俗音楽でもギターは使われるわけですが、それらも奏法的には上記4つの系列にほぼ収まると見てよいでしょう。もちろん、ハワイアンミュージックの美意識や価値観という部分にまで入り込んでハワイアンギターをなさりたいという方が必要とする情報はまた別のものとなるでしょう。ともあれ、どんなジャンルにせよギターという楽器を弾く上でその奏法の全体像を知っておくことは少なからずプラスになると思いますので、関心のある方はぜひ続きをお読みくださいね。

はじめにアコギ系とクラシック系ですが、同一曲をそれぞれどのように表現するのか、アーティストの芸術性の違いも当然あるのですが、奏法という点で例えばどう異なるのかを見てみます。動画をご覧ください。

まずアコースティックギターの奏法ですが、弾き語りのコード伴奏などに使うストローク奏法を基本としながら、さらにピックによるアルペジオ奏法3フィンガー奏法4フィンガーによる指弾きというように幅を広げてゆくことが出来ます。近年では、変則チュー二ングとそれをうまく活かしたタッピングハーモニクス奏法ライトハンド奏法ボディヒットやストリングヒットなどのパーカカッシブなプレイをとりいれたソロギターのスタイルが一つの地位を確立してきました。


アコギ系ソロギターのエンタテイメント性の強い演奏とはまた一味違う、伝統的な楽器の扱いを中心として表現されるクラシックギターはそのナイロン弦特有のサウンドが人の心をとらえます。クラシックギターの方が、もっと早くから独奏楽器として扱われてきました。とくに単音の美しさに対する探求のレベルは高く、アポヤンド奏法アルアイレ奏法というタッチの仕方から、洗練されたフィンガーアルペジオ奏法トレモロ奏法などは他のあらゆるジャンルのギターに影響を与えています。


次の2つの動画は、ジャズ系とフラメンコ系の例です。あえて、同じナイロン弦タイプのギターを使用している動画をチョイスしてみました。ジャズ系音楽でギターというと、アコースティックギターも使うしクラシックギターも使います。そして当然、エレキギターも使うわけですが、割愛します。

ここで言うジャズ系には、ジャズの他にボサノバやハワイアンやソウルなど様々なコンテンポラリーミュージックを含むと考えて下さい。ちなみにロックは、どちらかというとここで言うアコギ系に入ることになると思います。ジャズ系の奏法的特徴としてはⅡⅤ(ツーファイブ)に代表されるジャズ的コード進行とアドリブオクターブ奏法コードソロウォーキングベース奏法ボサノバ的指弾きコードワークなどです。

 

フラメンコ系の奏法には、数々のバリエーションがあるラスゲアード奏法アルサプーア奏法に代表される親指奏法ゴルペ奏法5連符のトレモロなどがあります。


最後に、あらゆるスタイルのギターにも基本的に使われるスライド奏法スラー(ハンマリングやプリング)スケール弾き(ピックによるオルタネイトピッキングやフラメンコで言うピカード奏法)などは、ジャンルによって少し扱い方が違います。同じドレミファソラシド~と音階を駆け抜ける時も、音色やニュアンスがやや異なるということですね。


最後に、一覧にしておきます。ここに表示しきれなかった奏法や分類しずらい奏法、あるいは奏法とも呼びがたい演奏スタイル上のマナーなども様々あるとご理解ください。色々な技を身につけて、ギターを生涯楽しんでゆく上で「こんなに色々あるんか~、楽しみいっぱい、ワクワク!」というリストだと思っていただけたら幸いです(^^)

 

<アコギ系奏法>

 パワーコード(5度コード)やチョーキングに代表されるロック的アプローチ

 3フィンガー奏法

 変則チュー二ングとタッピングハーモニクス奏法

 ライトハンド奏法

 ボディヒットやストリングヒット(スラム奏法)

 

<クラシック系奏法>

 アポヤンド奏法

 アルアイレ奏法

 カンパネラ奏法

 トレモロ奏法

 ハーモニクス奏法(自然・人工

 

<ジャズ系奏法>

 ⅡⅤ(ツーファイブ)に代表されるジャズ的コード進行とアドリブ

 オクターブ奏法

 コードソロ

 ウォーキングベース奏法

 ボサノバ的指弾きコードワーク

 

<フラメンコ奏法>

 ラスゲアード奏法

 アルサプーア奏法

 親指奏法(プルガール)

 ゴルペ奏法

 5連符のトレモロ

 

<共通、及びその他の奏法>

 4フィンガーによる指弾き

 スライドとスラー(ハンマリング、プリング)

 スケールとアルペジオ奏法(ピックによるオルタネイトピッキング、指によるim交互弾弦、フラメンコで言うピカード奏法)

 ストローク奏法(ピック、指弾き、フラメンコではセコ)