ギター上達を導く時間管理のための4つの視点

1.ギターの練習か、時間管理の練習か

時間管理

あなたは日々ギター手にしながら、理由があってそのことに時間を使っているはずだが、様々な事情と環境の中で、満足のいく練習あるいは楽しむための時間を十分に確保できているだろうか。

仕事、家のこと、家族、勉強、友達、地域活動、ギター以外の趣味etc.


「忙しい」の一言で片付けたくはないけれど・・・実際、「気がつけば今日もギターのための時間が取れなかった・・・」という経験をお持ちの方も多いようだ。

これではギターの練習をする前に、時間管理の練習をするほうがかえって近道のような気がする。そういう方のために、時間管理の基本について、ギターの練習に当てはめて考えてみようと思う。

 

あなたは日々ギター手にしながら、理由があってそのことに時間を使っているはずだが、様々な事情と環境の中で、満足のいく練習あるいは楽しむための時間を十分に確保できているだろうか。

仕事、家のこと、家族、勉強、友達、地域活動、ギター以外の趣味etc.


「忙しい」の一言で片付けたくはないけれど・・・実際、「気がつけば今日もギターのための時間が取れなかった・・・」という経験をお持ちの方も多いようだ。

これではギターの練習をする前に、時間管理の練習をするほうがかえって近道のような気がする。そういう方のために、時間管理の基本について、ギターの練習に当てはめて考えてみようと思う。

何に時間をかけるべきかを洗い出すために、やりたいこと・しなければならないことを挙げてみてみよう。次の4つのカテゴリにはお馴染みの方も多いだろう。

 

マトリックス

「最も重要なこと」にしっかり時間を割くことができるようになることが、時間管理の上手な人と言える。冷静に一日を振り返ってみたとき、どうでもいいことにかなりの時間を使ってしまっていたということがよくある。そしてより生産的で継続的な成長を目指すならば長期的な目標に対して十分に時間をかけるということが大きなポイントとなるのであるが、ここで考えなければならないのは、まずあなたにとっての「練習」がイコール「最も重要なこと」として位置づけられているかどうかだ。意外にも二の次三の次の優先順位で扱われている。なぜなら、練習というのは今日一日で「完成、任務完了」とはいかないものだからだ。仕事で「お得意先に明日の打ち合わせの件で電話を入れておく」といった、今すぐ、あるいは今日中にしておかなければならないという強い緊急性があるタスクとは、少々性格が異なるのが、日々の練習なのだ。

 

2.緊急中毒の陰にある本当に重要なこと

どんなに忙しくても「明後日に迫った演奏会の曲の練習」をすっぽかすことないだろう。そう、緊急性の高いことだからだ。しかし、振りかえってみてほしい。いつも何かにお尻を叩かれて慌てふためき、ギリギリになって練習を始める・・・ということを繰り返す、そんな悪循環に陥ってはいないだろうか。このようにいつも追われ縛られている状況を指して「緊急中毒」と言う。


すでにお気づきのように、日ごろの継続的な基礎練習不足が緊急中毒に拍車をかけているというケースがほとんどだ。「もう時間が無い!全然弾けてない!」と慌てて猛特訓する人がいる。そして友人との約束や、家族サービスの為の時間まで削るはめになり、人間関係にストレスを発生させていてはとてもとても集中力のある質の高い練習は出来そうにない。機嫌を損ねながらもせっかく見に来てくれた友人や家族に恥ずかしい姿をさらすだけの、まさに泣きっ面に蜂という状況すら予想される。

 

さて、このようなケースは、日々の基礎練習が充実してくることで解決できることがほとんどだ。そして日々の地道な努力は「真に身になるもの」となり、「継続は力」だけでなく内面的な自信にもつながり、「5年目の竹(竹は土の中で全然伸びない期間を経て5年目に急激に25メートルまで成長するという)」にもなりうるのだ。

 

竹の教え

だから、日々の継続的練習を最も重要なことだとまず悟ることが重要だ。そしてそのための時間を確保できるようにすること。スタートラインがそこだ。その次に、数ある練習項目の中からさらに「重要なもの」を見極め効果的な練習をする、これを自ら発展的にできるように成長してゆければ理想だ。練習の内容についても同様である。中長期的視点で重要なものというのは、今すぐにしなければならないとは感じない分、ついつい後回しにしてしまいがちである。しかし、ここに取り組んでこそ、5年目の竹になれる道が開かれるのだ。

 

繰り返すが、「重要だがそれほど急を要していないもの」、ここにカギがある。あなたは、練習のための時間を日常的にしっかりと確保することに本気で取り組んでみたことはあるだろうか。何となく暇ができたら、と構えていてはおそらく一生、時間は生まれない。それほど、時間管理・時間の確保ということが、何もしなくても空から降ってくるようなものではなく、少々苦労してでも勝ち取るべき、まさに「最も重要なこと」なのだ。

 

出来ることなら「早起きして3文の得」を。これは私の結論的持論でもあるが朝の、とくに早朝の味を知るものは3文以上の恩恵を受ける。精神的にも肉体的にも、早起きには大きなプラスとなる。ぜひ一度、集中力の冴える夜明け前に練習をしてみてほしい。朝型人間の成功例は山ほどあるが、夜型人間のそれはほぼ無いに等しいことは、いまや周知の事実となっている。ともあれギターの練習に限らず、自分だけの時間を持つということは、非常に重要なことではないだろうか。問題はどうやってその時間を作りだすのか見出すのかだ。

 

もちろん朝に限った話ではない。自分のペースで、誰にも邪魔されず、確実にとれる時間はどのくらいあるのか、またそれをどやったら増やせるのか、どこにそういう時間を見出せるのか?自分自身の今のライフスタイルや環境をいま一度振り返ってみてほしい。


3.持つべきものは「時間確保」と「継続的練習」という習慣

確かな「時間確保」を土台に、「継続」という練習環境を築きあげてゆかなければならない。継続には様々効果がある。例えば、完璧に音が出ていなくても、長期的視点で大目に見て同じ練習を継続してみると、1か月後には結果的に音が出てきたということはよくある。セーハであるとか音階の一つ一つの音などは、日々練習を繰り返してゆくことで、次第に音がはっきりときれいになってくる、そういう部分があるのだ。これは指の力や形が出来てくるまでにある程度の時間がかかるということがある。ほんとの意味でしっかり押弦できるようになるまで、そのことばかりに気を取られてしまわずにもっと大きな視点とマインドでもって練習をストップさせないことのほうが重要だ。その間に、他にも出来ることはいっぱいあるからだ。

左手の音

だから、継続しやすい環境を整えよう

 

続けるためのコツはいくらでもある。これらはギターや音楽に限らず、様々な分野で言われてきたことである。毎日やるために工夫をする。どんなことでも役に立つだろう。

 

・変に頑張り過ぎず、わずかでも毎日やる

・頑張った自分への褒美

・人に宣言して実行する

・あきらめない
・へこたれない
・常にポジティブ、プラス思考
・「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、為らぬは人の為さぬ成りけり」
・人のせいにしない
・細かいことに愚痴らない
・素直に反省はする
・くよくよせず開き直って再び始める
・朝起きたらとにかく楽器に触る

・ノートや手帳を活用してチェックする

・サイクル表を作って壁に貼る・・・など

 

自分にあっていて続けられる、プラスアルファがあるといい。

 

4.継続的な練習に必要なセルフリーダーシップ

継続について、もう少し内面的な秘訣について考えてみたいと思う。もちろん「あの曲を弾けるようになって、誰かの前で演奏してみたい!」という小さな夢(あるいは「小さな追い込み?」)からで良いのだが、根っこが深ければ深いほど木が丈夫であるように、揺らぐことが無い強いモチベーションが、継続の大きなカギであるのは確かだ。あなた自身の明確な目的観を立てることが、強いモチベーションを得る核心である。

 

あなたのモチベーションレベルはどのくらいであろうか?このモチベーションの強さが、継続的練習の障害物を乗り越えるうえでの最も大きな力となることは明らかだ。とは言え、人はロボットではない。その時その時の感情やあるいは体調によっても意思は揺れ動くものである。そのような自分と向き合いながら、安定した継続性を維持するのは容易なことではない。風邪気味で気分がすぐれず寝坊してしまって一日の計画がなし崩しになり気分まで滅入ってしまったのは、あなただけに限ったことではないのだ。ではそんななかで、一体何が必要なのだろうか。


一人練習

これに対して、私は「リーダーシップ」が必要であるとお答えする。ここでいうリーダーシップとは、Leader In Meのこと。個々人のなかにある最高のものを引き出す、それを誰かがリードしなければならないのだが、まさに自分自身が・・・ということを意味している。

つねにあなたを見張り厳しく律する上司の下で働く時、その仕事は楽しくて創造性に富み生産的な仕事として実を結ぶだろうか?あなたは息苦しくて恐怖心から結果を急ぐあまり、すぐに枯渇してゆくだろう。このような上司は、リーダーというより管理者監視者と呼ばれる。

 

リーダー、つまりあなたをリードする人間というのは、自分に最も合う方法用い、自分の持ち味を引き出し、活かし、そして自分自身をエナジャイズしてくれ、面白くさせてくれ、練習を生涯、楽しんでやり続けてゆくように導く存在のはずだ。そして時には気が進まないことに対しても率先し挑戦してゆくというような、あなたの模範になる存在ではないだろうか。

大なり小なりいろいろな声が飛び交う「自分」という世界の中で、勇気を持って立ち上がり行動を起こす「リーダー」が必要なのだ。それはもう一人の自分と言えるかもしれない。

 

無意味にダラッとテレビを見ているとき練習しようと声をかけてくれる、朝練しようと決心した翌朝睡魔と闘うあなたに「がんばれよ!気合いだぞ!」と言ってくれる、理想としている未来の自分をいちばんよく知っている「心の声」ともいえる存在に気づくこと。これは人生全体に関わる深遠な内容とつながっている。逆に言えば、あなたにとってのギターが、あなたの真の人生の最も重要な部分とつながりのあるものなのかどうかということだ。それ程とても大切なものなのか、あるいは忘れて構わない存在なのか?これを理解している人なら、必ず上達はついてくるはずだ。

 

「ギターをやろう!」とあなた自身が決めたように、「うまくなろう、うまくなる」ということも、実はあなたが自ら決めなければ、けして変化は訪れない。「うまくなりたい(願望)」と「うまくなる(決意)」は別のものだからだ。

だからこういうことの為にも、自分にとっての音楽とは何か、その価値観というものを明確にしてゆくことが、結局は大事ということになって来る・・・もっと言えば、「私とは何者なのか?」というアイデンティティの問題にもなる。これが曖昧だとギターや音楽をする意味も曖昧になるばかりでなく、人生の方向性自体がぼやけてしまう・・・。誤解しないでほしい、ここで人生論についてどうこうするつもりはない。ただ、このぐらい深い部分に根を張って、ギターを見つめてみてはという提案である。ぜひ参考にしてみてほしい。