森 充
もり みつる
ICMFguitarstudio代表、島村楽器音楽教室アコースティックギター・クラシックギター・フラメンコギター・ウクレレ科講師。フラメンコギターで鍛えた指さばきとリズム感に裏打ちされた「技術力」、ジャンルの垣根を超えた音楽の「普遍的価値観」、そしてレッスンスケジュールやカリキュラムにおける「柔軟性」、この3つを通して、生涯楽しめるギター音楽ライフを応援しています。
「この曲どう料理する?ギタリストのアレンジ術40策」いかがでしたでしょうか?シリーズ最終回の40回目です。
この連載「この曲どう料理する?ギタリストのアレンジ術40策」では、題材曲があってそれをアレンジするときの基本的な考え方・アプローチ法について扱ってきました。
これまで見てきました様々なアイデア・奏法などを、カテゴリごとにザくっと分類してみます。「リズムパターンを変えたいな・・・」とか「何かいいエンディングのアイデアは無いかな?」とか思ったときに、辞書の目次のように使って頂けたらと思います。
①コード、ハーモニーのアレンジ
・・・(8)(10)(11)(12)(14)(15)(16)(21)(38)
②リズムパターン、スタイルのアレンジ
③ベースライン、対旋律のアレンジ
④主旋律のアレンジ
⑤ギター独自の奏法を用いる
⑥イントロとエンディングをつける・工夫する
・・・(29)(30)(31)(32)(33)(34)(35)
といった感じになります。
最後に、これらを「どのように組み合わせるのか、組み立てるのか?」という点に関してです。
結局は、自分の内に聞こえる音・イメージがどんなか、ということが最もカギになります。
「Happy Birthday To You」と一口で言っても元気いっぱいのHappy Birthdayを歌いたいときもあれば、ちょっと落ち着いていてムーディなHappy Birthdayをという場合もありますし、全く意表を突くコミカルなHappy Birthdayがふさわしいシチュエーションもあることでしょう。
自分の中に聞こえてくる音楽というのは個々人に、その時々に、違ったものであるはずです。趣味・趣向、これまで聞いてきた演ってきた音楽、聞かせる相手、といったファクターもあるでしょう。
こういう風に弾きたい、こういう音づかいがしたいという時、自分の引き出しの中から自分自身で判断して、選び、演奏(作曲)する・・・。そのために、アレンジ・作曲の実践的な知識の量と、演奏技術の熟練度とを、増やし高めてゆく・・・。このような音楽力向上のための努力を日々重ねることは、けして手軽で簡単なことではありません。でも、だからこそやりがいがあるのであり面白い!そして音楽はけしてあなたを裏切らない、そう付け加えてこのシリーズを「完」とさせて頂きます。
ぜひ、これまでの内容を参考にしていただきご自身のギターライフをより面白くそして生涯楽しむコツをつかんで頂けたらと思います。最後までお読みいただきありがとうございました☆
今回はアレンジにギターの荒業、アドバンスト・テクニックを活用することについてお話します。ギター1本でのオーケストラ風な重厚感のあるハーモニー&メロディを弾けないものか?そしてギター1本でバンド演奏をやってのけることは出来ないのか?という憧れを抱く方も多いのではないでしょうか?これはフラメンコギターのラスゲアード奏法やアコギロック系のスラム奏法を用いて挑戦することができます。
ラスゲアード奏法とは?
とりわけフラメンコギターに特徴的な右手のすべての指1本1本を駆使したかき鳴らし奏法のこと。正確にリズムを刻んだり、コードを細かな連符で刻んだり、コード全体の音をトレモロ化したように滑らかに細やかに響かせたり、様々な使用法があります。コードフォームを変えながらトップのメロディを動かしてラスゲアードを維持するとワンマンオーケストラともいえるストリングス風のサウンドも夢ではありません。
スラム奏法とは?
ギターのボディ上部をバスドラムに見立て、指板と弦が当たる音をスネアに見立てたりと、ドラムの音に近いニュアンスでコードを弾きながらもパーカッシブな打音を加えるというハイテクギター奏法。ここにアルペジオやメロディを絡めたソロギターのスタイルはワンマンバンドのような印象を与えます。
第38回は「もしもHappyBirthdayToYouが短調だったら・・・」という題目で、調性を転換するアレンジのサンプルです。前回メロディを変えるというお話の中でコード進行自体を変更するアイデアについて触れましたが、その最たるものと言えるかもしれません。
ハ長調(Cメジャー)の曲をそのままイ長調(Aメジャー)に転調させる場合これは移調と言って曲の構成内容は変わりません。カラオケのキーを上げる(下げる)ボタンを何回か押しただけという感じです。ここでは長調(メジャー)の曲を短調(マイナー)にするという真逆的アプローチですので全くと言えるほど印象は変わりえるわけです。
ここで言う転調は、モード変換と言うとイメージがしやすいかも知れません。
メジャーのキーの曲ををマイナーに(もしくはマイナーをメジャーに)、あるいはブルースキーに、スパニッシュ(フリジアン)キーに、変えるという意味です。
モードという言葉は、いわゆる教会旋法というド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの各音から音階を並べた時に醸し出されるその様相・雰囲気というか(ま、モードですね)が、それぞれ個性を持っているため名前をつけて区別したところから来ています。エオリアン・モードとかミクソリディアン・モードとかいうもので7種類になります。
現実的に楽曲の主なキーとしてよく使われているのが上記4つですので、知っておくと
アレンジや作曲に役立つでしょう。
今回はメロディラインのアレンジの続きということで行きたいと思います。この楽譜は有名なJ.S.バッハ作曲「ゴルトベルク変奏曲」の主題であるアリアです。
メロディのアーティキュレーションというところを前回やりましたが今度はメロディの音符、音程や音型そのものに手を加えるということについてお話します。
よく、クラシックの曲においても「○△変奏曲」とか「□◇の主題による24のバリエーション」とかいう、ある一つのもとネタ(曲、メロディ)から何通りにも違った弾き方をするたぐいの楽曲がありますよね。
また、ジャズのスタンダード曲の演奏を聞くとたいがい、1番は何の曲かよくわかるメロディが聞かれるのに2番(2周目)以降はアドリブ演奏となっており時には曲のタイトル名を疑うほど違うメロディになっている・・・というのが常です。
どちらも、同じ、元になっているシンプルなテーマからじつに様々なアイデアを持ち込んで曲を膨らませながら何回も何回もその曲を繰り返し演奏しているということが起きています。譜面化された作曲と、即興演奏という方法の違いこそあれ・・・
今回は「変奏」という視点でアレンジを考えるときの、ヒントとなりうる2つ方向性を紹介します。
図は、楽譜ソフトFinaleで「アーティキュレーション」という項目を開いたときのその一覧です。
「この曲どう料理する?ギタリストのアレンジ術40策」シリーズ第36回では、これまであまり触れることができなかった、「メロディ」に関することについて一言書いておきたいと思います。
メロディラインはコード進行以上にその曲を印象付けている、というか決定づけている要素ですのでこれをアレンジする場合、どのようにすればよいのか考えてみます。
メロディに焦点を当てたアレンジというのは、メロディラインそのものや音程を変えるのか変えないのか、メロディのリズムやタイミングを変えるのか変えないのか、ということを考えたうえで、元々のメロディーラインにアレンジを施してゆくことになるでしょう。
そして、伴奏のコード進行とリズムパターンを変えるのか変えないのかということも同時に決定してゆく必要があります。
サブドミナントマイナー応用編
④bⅥmaj・・・bⅥのコードは3度の音がⅠのルート音と同じになります。このシリーズの場合キーがAメジャーですのでbⅥコードの構成音はF・A・C。
⑤bⅥ-bⅦ・・・bⅥからbⅦコードへそしてⅠへとつながるコード進行はナチュラルマイナースケール上のダイヤトニックコードⅥ→Ⅶ→Ⅰ進行の応用です。
⑥bⅦ・・・bⅥのコードを省いてbⅦのコードのみ。
このbⅥ・bⅦは同じ主音のマイナーキーからお借りしてきたコードです。つまり原曲がAメジャーならAmのキーのダイヤトニックコードを見てみるとその中にあるコードです。機能的にはサブドミナントです。
「この曲どう料理する?ギタリストのアレンジ術40策」第34回目は引き続き、エンディングについてです。
エンディングのバリエーションを増やしてぜひご自身の引き出しに加えてください。
前回のエンディング例にプラスする形で、つぎは曲の終わり方に使える様々な「コード進行」を挙げてみたいと思います。では行ってみましょう☆
サブドミナントマイナー
①Ⅳm ・・・この場合、Dmのこと
第29・30・31・32回と四回にわたってイントロのアイデアについて少しご紹介しました。この回からはエンディングについて考えてみたいと思います。
まず分かりやすい終わり方でしっかり押さえておきたいアプローチ法が
サビのフレーズを繰り返すというものです。
歌い手が聴衆に向かって「One More Time!」とか言って
もう1回そのフレーズを一緒に歌わせるということがありますよね。
それと同じと言えるでしょうか。
実際に弾いてみて、耳で確認してみてください。譜例のキーはAメジャーです↓
イントロ編も今回でラストです。
最後は、歌の部分をフルサイズ使ってゴージャズにお膳立てするこれまたよくあるタイプのイントロ、「カデンツァ風」をご紹介。
この「カデンツァ」というのは、バロック時代などのクラシック音楽において、オーケストラをバックにバイオリンやピアノなどが演奏するコンチェルト(協奏曲)という曲種の中で
ソロ楽器のみで即興的で技巧的なフレーズを弾く部分があるのですが、それのことです。
アプローチの発想法をまず挙げてみます。
今度は「イントロに使えるコード進行」ということで、コード進行という観点からイントロを組み立ててみる例をいくつか紹介します。
ここでダイヤトニックコードについておさらいしておきましょう☆
キーがCの場合、ドレミは実音としては
C D E F G A B(C)
となりますが、それぞれの音をルートにしたコード、これがダイヤトニックコードでしたね。
以下に、これからご紹介する例題の都合上、これをAのキーで置き換えてみます・・・。また、トニック(T)、ドミナント(D)、サブドミナント(SD)という分類もついでに確認しときましょう☆
Ⅰ・・・Amaj7
Ⅱ・・・Bm7
Ⅲ・・・C#m7
Ⅳ・・・Dmaj7
Ⅴ・・・E7
Ⅵ・・・F#m7
Ⅶ・・・G#m7b5
T…Ⅰmaj7 ※代理コード例:Ⅵm7 Ⅲm7
D…Ⅴ7 ※代理コード例:Ⅶm7(b5)
SD…Ⅳmaj7 ※代理コード例:Ⅱm7
2016年もいつの間にか終盤を迎えてきておりますが、年の締めくくりにどんな1曲をお考えでしょうか?歌うのが好きなあなたは弾き語りで、パーティーでみんなの伴奏をしたり、一人でギター1本で聞かせるのかもしれませんね!
定番のクリスマスソングでスイングしたり、ジョン・レノンやマイケル・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストンなどポップな路線、それとも邦楽、あるいは讃美歌・・・いろいろな楽曲がある中で1、2曲選んでおいて今から練習してみてはいかがでしょうか?
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「この曲どう料理する?ギタリストのアレンジ術40策」第30回目は、前回のイントロ定番の続編で、今度はメロディ付イントロ例です↓
この回からは何回かにわたって、曲の始め方や終わり方について見てゆきたいと思います。
まずはイントロのアイデアの「定番編」と題しまして、よくある分かりやすいイントロの付け方の例を挙げてみます。
サビの部分から、メロディだったりコード進行だったりをイントロに使うというケース。
HappyBirthdayでやるとこんな感じ・・・
まずはコードだけのイントロ↓
第25・26・27回にわたってご紹介したのは、メロディを支える点という観点でのベース音の付け方でした。
今度は「線」です。ベースライン、ベースのリフであるとかメロディといったもので主旋律をサポートするという内容を見てゆきましょう。
ベース音はたとえその瞬間にコードがジャランとなっていなくても動き方次第でコード(つまり同時にたくさんの音を響かせる)にも劣らないもしくは下手にコードを刻んでしまうよりも雄弁にものを語るのです☆
ベースはリズムを決定づける要素もあるので使い方次第で音数以上にパワーを発揮します。
次の例はファンクっぽいベースのリフ(リフレイン)でアレンジしたHappyBirthdayです。パターン化されたベースのフレーズを繰り返し主旋律に対してベースの単音ラインだけで伴奏を付けました↓
第25回と26回ではべース音としてコードのルート音のみを使った例を見てみましたが今回は、少し音を増やしてみます。といっても、音の種類から言えばほんのもう一つだけ増やす例です。
各コードの5度の音です。
Aコードの場合は5度の音と言うと「E」
Dのコードの場合は「A」
E7のコードの場合は「B」
前回の記事でメロディをべース音のみで支えるというシンプルなソロアレンジを紹介いたしましたが、伴奏音を全て開放弦で弾けるならこんなアレンジも手軽に出来るのではないでしょうか↓
前回は「対位法」ということに初めて触れましたが、最もシンプルなところから考えてみれば一つのメロディに対して点で支えるというところから始まります。
コードのルート音だけでも、それがあるのとないのでは大きく違います。たかが1音、されど・・・です。
これまで、どちらかというとコードとメロディという観点でソロギターを構成し、その二つを色んなジャンルのリズムスタイルや奏法にのせて形にするというアプローチでアレンジ術を見てきたわけですが
実はもうひとつ、非常に重大な要素があったのです。
それが「対位法」です。
クラシック音楽の歴史を見れば、ルネサンス・バロック時代からこのようなアプローチは存在し、とくにバッハによって既に頂点に達した対位法音楽はその後の作曲家たちにもその精神は受け継がれ曲作りにおける重要なポイントの一つになっていきました。
というわけで、対位法的な伴奏を伴うHappyBirthdayの例をどうぞ↓
第23回目はロックやフォーク系アコギあるいはフラメンコでもよく耳にする
「開放弦を絡めたコードサウンド」
について触れたいと思います。
ここでは理論的なコードネームはあまり気にせず、ギターならではの開放弦の響き、開放弦+半音や全音あるいはユニゾンの音の重なりから生まれる透明感あるサウンドを確認してみてください。この種のアレンジは自分で色々コード内の音を動かしてみながら自ら新しいコードを見つけ出す感覚で取り組むことをお勧めします。というわけで、今回は譜面無しにしておきます(^^♪
前回はフラメンコのサウンドを決定づけるコードおよびキーについて簡単に紹介いたしました。メジャースケールやマイナースケールではなく、フリジアンモードを中心に置いた音組織になっているということでした。(参照:第21回スパニッシュなコード進行とは?)
今回はもうひとつ、フラメンコのネタで行きたいと思います。
フラメンコっぽいアルペジオです。ジプシーキングスなどでもよく耳にするようなリズムに乗せてあります↓
さて第17回~~第20回にわたり右手のリズムスタイルのみ変えてできるバリエーションとして、スイング、ジャズワルツ、ボッサ、ソウル風をフィンガースタイルでアレンジしてみた例をご紹介しました。様々なジャンルのリズムを、ギター1本でどう表現するかということを体得してゆくのがポイントになります。
この例はまだ続きがありますが、ここで少し休憩・・・
ということで、ここでフラメンコ的なアプローチを一つやってみたいと思います。
ラスゲアード(かき鳴らし奏法)を含む、フラメンコのストローク・ソロ例です↓
前3回(第19回ボサノバ・第18回ジャズワルツ・第17回スイング)に引き続きリズムのスタイルを変えたアレンジ例です。
右手のミュート音と弦がフレットに当たるときのパーカッシブな音をからめた、ソウルっぽいバージョン↓
前回は「スイングさせる」と題して、ジャズの代表的なリズムでのアレンジ法について紹介しました。
今回は引き続き、音的にはそのままスイングバージョンでやったものを用いながら、つまりコードのボイシングも押さえ方も同じままで、リズムパターンのみ変えるというアプローチで行きたいと思います。
この手法を用いてアレンジ出来るスタイル(ジャンル)は色々ありますので、今回から数回に渡って扱ってみたいと思います。
まずはジャズつながりでジャズワルツバージョンです↓
今回は、「スイングさせるとどうなるか?」をやってみたいと思います。
前回の記事ではブルースの持つサウンドについて書きましたので、今回はそのリズム的特徴について見てみましょう。
いわゆる「シャッフル」のリズムが基本となっています。
シャッフルというのは1拍を3連に分けた独特のリズムのことを言いますが、広く一般的には「シャッフル」、特にジャズ的な表現としては「スイング」という言葉が使われます。例えば普通に8ビートのストロークでコードを鳴らすとき、これは言い換えますと4拍子の1拍を2連にしたビートですが、ダウンとアップのストロークをイーブンつまり1:1の長さで弾いている訳ですね。これに対してシャッフルというのはダウンとアップの音の長さ比率が2:1になっています。
「1拍2連」の音楽=8ビート
「1拍3連」の音楽=シャッフル(スイングまたは8ビートのシャッフル)
※1拍4連=16ビート
※1拍6連=16ビートのシャッフル
第10回以降は、
という流れで「コードを変える」というテーマできました。ちょっとジャズ系の内容が続きましたので、今度はそのルーツでもあるブルースにフォーカスしてみたいと思います。
ブルースも、このシリーズの題材であるHappyBirthdayToYouの原型同様、基本は3コードで表現可能です・・・
しかし、普通のHappyBirthdayとも何だか雰囲気が違ったものになります↓
ここで少し「テンション」ということについて触れておきたいともいます。
と言いますのも、セカンダリー・ドミナントについてご紹介した前回の譜例には何気に
「add9」「9」「7(b9)」
といったいわゆる「テンション・コード」が出てきていましたので。
そもそも「テンション・コードとは何ぞや?」と気になっている方も、日ごろからコードをよく弾くギタリストには多いのではないでしょうか?
「コードにテンションを加える」という言い方もしばしば耳にするかもしれませんね。これは、もともとの味付けに隠し味となる何かのスパイスをちょっぴり加えた・・・というイメージなんですが、そうは言っても、そのコードが持つ響き・サウンドに耳が慣れていないうちはなかなか違いも使い勝手も分からないものなので、まず今回はあまり難しいことは考えず、いきなり取り組めるテンションコードを含むアレンジのアプローチを紹介したいと思います。
というわけで、
「結果論的テンション・コード」
行ってみましょう!次のようなケースのことを意味しています。
結果的に、つまりコードにメロディをのせてみると、もとのコードはごく普通(トライアドやセブンスコード)だったのにメロディの音まで加えたとき結果としては(コードネームで言うところの)テンション・コードになっちゃっていた、というケース
第11回でダイヤトニックコードの基本について触れましたが、今回はその続き、次の段階についてお届けします☆
ここではいわゆる
「セカンダリー・ドミナント」
というアプローチについて、その実践編を見てみましょう。
<セカンダリー・ドミナントの実践方法>
手順1:まず目的地(のコード)を定める
手順2:その目的地から完全5度上(完全4度下)に7(ドミナントセブン)コードをかます
今回のアレンジは、ギターソロの極みの一つである、クラシカルな
「トレモロ奏法」
で行ってみてみたいと思います。
クラシックギターというと、このシリーズの4回目で紹介した禁じられた遊び風バージョンの原曲である「ロマンス」とともに、「アルハンブラ宮殿の思い出」が有名です。
その曲がまさにギタートレモロ奏法の代名詞です。単音を連続で細かく鳴らし、メロディラインを強調する特殊奏法です。
サンプルの動画では、Aのキーで、メロディに①弦のみを使ってのアレンジとなっております↓
第10回・第11回と、ダイヤトニックコードを使って、もとのコードを「取り替え」た例をお見せしました。題材曲の「Happy Birthday To You」は主要三和音(3コード)のみで和声づけしてあったものから、色合いを増してストーリー性も垣間見るような曲に変化して聞こえた方もおられるかもしれません。このように、コード進行を変えるアレンジというのは曲そのもにも大きな変化・影響を与えることができます。
今度は、素材となるコードは元のものを基本的にそのまま採用しながらも「味付けを変える」、つまり単純にコードネームの英文字(ルート音)は変えないで、コードのタイプ・種類(サフィックス)だけいじるというもの…をやってみたいと思います↓
聞いた感じ、いかがでしょう?
音だけでは、コード進行自体が原型からかけ離れているように感じるかもしれませんね。
しかし、下の譜例を見てみるとⅠ・Ⅳ・Ⅴのコード(キーがGなので、今の場合はG・C・D)だけで出来ているのが分かります。
前回、「ダイヤトニックコード」という言葉が出てきましたが、ご存知の方も多い半面、「それって何?」という方も・・・
ということで今回はちょっと簡単にご解説。
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ(・ド)の7つの音からなるいわゆる「ドレミ」、この7つの音を組み合わせてバランスよく響くコードを導き出す・・・
そうすると結果的に下のような7つのコードが出てくるのですが、それが「ダイヤトニックコード」と呼ばれるものです。
第10回からは「どのようにコードをかえてゆく?」という内容で何回かに分けてお届けします。アレンジに欠かすことの出来ないコード進行に手を加えるというアプローチのことですが、まず
あるコード(コード進行)を「かえる」というとき
<替える>
入れ替える=もとのコードとはルート音もサフィックス(種類)も全く異なる別のコードに置き換える
<変える>
変化させる=もとのコードのルート音は変えずにコードの種類やテンションなどの付加音などを変更する
という二種類の観点がある
第7・8回の「ジャカソロ・アレンジ編」では①弦上にあるメロディをストロークでコードと同時に鳴らしてみました。その際、「メロディがくっついたコード」を弾き続けていた訳ですが、そのコードがいったいどんなコードであったのか?これをもう少し詳しく見てゆきたいと思います。
この種のアレンジのポイントは同じコード(ネーム)でも弾くポジションが異なる、あるいは音域を変えるといういわゆる「コードの転回」という方法です。メロディの位置にあわせてコードを転回させていたわけですが、たとえばAのコードでも、出てくる順に、
①開放弦ポジション
②2フレットセーハ
③5フレットセーハ
④9フレットセーハ
⑤7フレットセーハ
と合計5つの場所で異なる形で現れます。TAB譜でご確認ください↓
第7回では8ビートのストロークでご紹介した「ジャカソロ」でしたが、今度は16ビートのバージョンです↓
前回第6回の移調というお話の中で、HappyBirthdayToYouのキーをCからAに変えるとメロディ全体が①弦上に収まるようになることを紹介いたしました。
今回はこの「①弦上にメロディが全てあること」を活かしてのアレンジ・アイデアです。左手さえ覚えれば、右手はただひたすらダウンアップ!というストロークによるソロ、いわゆる「ジャカソロ」スタイルです☆
さっそく「8ビート」のストロークでやってみます↓
「メロディ全体の音域をもう少し高くしたい」とか、「ギターでコードが鳴らしやすいキーに曲を移調したい」など、アレンジを考えるときにこういった欲求が出てくることもあるでしょう。
キーを変える、移調するにはどうしたらよいのでしょうか?#もbもなにも変化記号のないドレミファソラシドすなわちキーCで楽曲を捉える(捉えなおす)こと、そして数字でコードやメロディを把握すること、をお勧めします。
これにより、コードとメロディの分析・把握が可能です。把握ができれば、そのままごっそりとお部屋ごと引っ越しするような感じで移調ということは出来るようになります。たとえば次のように、コードはローマ数字で、メロディの音符各音は普通の数字で表してゆきます。
キーがCのとき
「Ⅰ」=C、「Ⅱ」=D、「Ⅲ」=E、「Ⅳ」=F、「Ⅴ」=G、「Ⅵ」=A、「Ⅶ」=B
「1」=ド、「2」=レ、「3」=ミ、「4」=ファ、「5」=ソ、「6」=ラ、「7」=シ
第5回目は、「キーを変える、移調」ということについて触れたいと思います。
カラオケに行って歌おうとしたとき、原曲の音程だととても声が出なくて、「b」のボタンを何回か押した・・・
というような経験はありませんか?
あるいは女性ボーカルの曲を男性が歌おうとして「#」を何回か押して音程を高くしておきながら1オクターブ下で歌う・・・なんてこともあるかもしれませんね。
これがキーを変えるということですが、ギターのアレンジのときにも力を発揮してくれます☆
第4回目は、「禁じられた遊び風アルペジオ」です!
ギターをソロで、という時に忘れてならないのがかつて一世代を風靡した「映画"禁じられた遊び"のテーマ曲」である「ロマンス」ではないでしょうか。でました!きたきた!という世代の方もおられるかも?
そこで今回は同じようなアルペジオパターンで、つまり3連符のアルペジオ上にメロディが浮かび上がるタイプのアレンジをご紹介します↓
第3回目は「カントリー3フィンガー奏法」という内容でお届けします。
こんにち押尾コータローさんをはじめソロギターのアコギストの方々が、そのルーツとして消化していったフィンガーピッキングの代表的リズムパターンとも言える3フィンガー奏法によるカントリースタイル、です↓
ではさっそく、題材である「Happy Birthday to You」を(1)の記事に掲載した譜面にそって演奏してみます↓
ひとつの楽曲を自分らしく、自由に、気分に合わせて、感情のほとばしるがままに、楽しく、ワクワクしながら、演奏できたらいいですよね?基礎練習も、理論を学ぶのも、結局は楽しく自在に音楽を奏でられるようになるために行っているわけです。学び、身につけた(これから身につける)内容を形にするべく、たった一つの同じ曲をどのようにアレンジして弾けるものなのか、掘り下げてみたいと思います。
ギタリスト視点で、実際に演奏することを前提とした、アレンジのアイデア40連発!ソロギターで曲を作ったり編曲したりする上でも役に立つアプローチ法の数々。「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」を題材とし、ギターでのアレンジ手法の基本から応用までを解説してゆきます♪
1歳の赤ん坊でも覚えて口ずさめる誰もがご存じのこの曲、どのようにアレンジできるのか?一緒に、その可能性と面白さを見てゆきましょう☆
と、そのまえに、まずは簡単に題材曲「Happy Birthday To You」の原型をみてみましょう。そして楽曲を把握する際のポイントを挙げておきます。
ポイント1:
メロディはおなじみですが「ドレミ」の歌詞をつけておきます。言いかえると、調が変わってもドレミで歌えるようにするという意味です。
ポイント2:
原型はコード進行を、極力シンプルに付けておきます・・・。スリーコードに、プラスα程度でいいです。
これまで「知識ゼロからのギターコード攻略」と題して連載してまいりましたこのシリーズでしたが、具体的にはダイヤトニック・コードを中心に、そこに関連する様々な性格のコードを見てきました。キーがはっきりしている一般的な音楽(調性音楽)においては、曲の中で起こっているコードの展開はこれまで述べてきたものでほぼ全てだと言えるでしょう。それ以外のコードが出てくるケースと言えば、キー自体が変わる「転調」という現象が主なものですがここでは割愛させていただきます。
「知識ゼロからのギターコード攻略」はここで一区切り、完結とさせていただき最後にまとめとして一つのキーで12半音各音に使用可能なコードを一覧表にしておきます。もちろん前後のコードとの関係があってのコード進行です。表にあるからといって何でも良く響くわけではありませんので、その辺りはこれまでの記事で説明しました内容を参考にご自身で様々なコード進行を試してみたりすることで学んで行ってくださいね。
なお、続編として「テンションコードとスケール」にフォーカスした内容を考えております。
前回はディミニッシュ・コード、今回はオーギュメント・コードの使用例を紹介します。下の譜例には2つのオーギュメント・コードが出てきます。この2つのaug、使用法としては異なるものです。それぞれどんな意味合いを持っているのでしょうか?
前回はブルースを扱いましたが今回はまたしても調性音楽の中でも独自の存在感でひとつのジャンルを形成している音楽、「スパニッシュ(フラメンコ)音楽に由来するドミナント・セブンス」を見てゆきます。
まずは譜例をご覧ください。Ⅳのコードにドミナント・セブンス(=F7)が使われている箇所があります。なお、スパニッシュな曲調を意図しているためコードに応じてメロディの最後が半音付加の字余りになっていますのでご注意ください。
前回記事(35)マイナー・ダイヤトニック応用編までで、ダイヤトニック・コードの全貌をお話してきましたが、やはり理論はあくまで理論、秘境的お宝というものは基本ルールの外にあったりするものです^^
というわけで、ここからは2回に渡り「ドミナント・セブンス・コードの特殊なケース」を探ってみたいと思います。
「特殊なケース」と言ってみましたが、これに対する「普通なケース」というのはいわゆるドミナント・モーションの働きにおけるドミナント・セブンス・コードのことです。Ⅴ7⇒Ⅰmaj7であるとかⅤ7⇒Ⅰm、応用としてはⅥ7⇒Ⅱm7やⅡ7⇒Ⅴ7などのセカンダリー・ドミナントも普通なケースと位置付けます。これらのダイヤトニックを中心にコード進行上に出てくるドミナント・セブンス・コードたちとは、ちょっと性格の異なる、目を見張る、耳を奪われる、そんなドミナント・セブンス・コードの使い方があるのです。
前回(34)「サブドミナント・マイナーとは?」では、ダイヤトニック上のサブドミナント・コード(Ⅳ)を基本であるメジャーからマイナーに変える、正確には「マイナー・ダイヤトニックからお借りしてくる」という内容を中心にコード進行に変化を付けるアイデアをご紹介しました。今回はその続き、応用編です。マイナー・ダイヤトニックからお借りできるもの全てを使ったら?という発想です。では行ってみましょう。
前回・前々回でマイナー・キ―の場合の使えるコードを紹介したわけですが、題材の「ふるさと」自体を短調変えてしまいましたね・・・。今回は、原曲の長調のままで、かつマイナー・ダイヤトニック・コードを随所にブレンドするという、高度な^^コードのアイデアを紹介してみたいと思います。
前回まででマイナー・ダイヤトニックの3つのタイプを紹介しましたので、いよいよそれらのダイヤトニック・コードを使ってどのようなコード進行、ハーモニーが生まれるのか試してみましょう。題材は同じく「ふるさと」の末尾4小節で参ります^^主音は同じCであるものの、キーが短調になっている、この「同主調」マイナー(Cm)でコード進行を考えてみます。
ここでちょっと・・・五線譜のドやソなどオタマジャクシの高さは見た目Cメジャーの時と全く変化ないのですが、あらかじめE音A音B音はb(フラット)していますのでご注意ください。ト音記号の横にb(フラット)がありますよね。ですのでメロディも少し異なっています。実際に弾いてみながら確認してくださればと思います。
それでは順に、ナチュラル・マイナー、ハーモニック・マイナー、メロディック・マイナーのダイヤトニック・コードを用いた「ふるさと」のコード進行例です。なお、曲の終止感をシンプルにするためこの例ではⅠのコードはシンプルなマイナー・トライアドで書いてあります。
前回はマイナー・ダイヤトニックの3種のスケール及びコードについて紹介しましたが、具体的なコードの押さえ方がはっきり分からないという方のために、今回はキーCmの場合の3種類にいてフォームを掲載します。もちろんここに示した以外にも数々のコードフォームがありますので、比較的分かりやすく押さえやすいものの例ということでご理解ください。マイナー・ダイヤトニック・コードを使用したコード進行の実際は次回、例を挙げて紹介してゆきます。
前回まで、ダイヤトニック・コードの使用例を基本から応用まで解説してきました。これらは厳密に言うと「メジャー・ダイヤトニック」でした。しかしメジャーに対してもう一つ大きな存在がありますよね、マイナーです。ここからは「マイナー・ダイヤトニック」の世界へと突入してゆきます☆
前回はセカンダリー・ドミナント、前々回はダイヤトニック内の代理コード、というアイデアでダイヤトニック・コードを土台としてコードを入れ替える方法について見てきました。さて今回は、「裏コード」です。
裏コードというのはドミナント・セブンス・コードの置き換えについての手法ですが、ここではドミナント・セブンスというコードを形成している最も重要な音に着目します。不協和音程である「トライトーン」です。このトライトーンという音程は1オクターブ内に最も遠い位置にある二つの音、12個の半音をちょうど真ん中で割ったような距離、増四度もしくは減五度の音程です。Cのキーで説明すると、F音とB音ということでした。
※参照記事:音楽のタネあかし!?ダイアトニックコード③:知識ゼロからのギターコード攻略(17)
このF・B両者を含むG7というコード、これはキーCのダイヤトニックの5番目のコード、つまりⅤ7です。ところで、このF・B音程を含むドミナント・セブンス・コードは、実は12調のメジャー・ダイヤトニック・コード群の中にもう一つあります。
キーがGb(F#)のダイヤトニック・コードのドミナント・コードを確認してみましょう。
前回はダイヤトニック・コード7つの入れ替えについてやりました。ダイアトニック・コードを使えばコード進行を豊かにすることが出来るのがお分かり頂けたのではないかと思います。今度は部分的にコードの音を変えることで更に色合いを豊富にします。というわけで、ダイヤトニック・コードの7つの基本コード以外のコードを使っての代理コード進行について説明してゆきます。7つあるダイヤトニック・コードとは異なるルート音のコードであったり、同じルート音でもコードのタイプが異なる場合これらを「ノン・ダイヤトニック・コード」と呼びます。
今回はこのノン・ダイヤトニック・コードを使った代理コード進行のうち、「セカンダリー・ドミナント」という内容について紹介します。これはダイヤトニック上の本来のドミナント・モーションである「Ⅴ7ーⅠ」というコード進行に対して、副次的にこれと同じ働きをするコード進行を作り出す作業と言えます。
まずドミナント・モーションについてのおさらいです。ドミナント・コードとはダイヤトニック・コードの中ではV7のことでしたね。このⅤ7からⅠへのコード進行が最も安定的に聞こえるのですが、その理由はトライトーンと呼ばれる不安定な響きが最も安定した響きのⅠコード(の1度・3度の音)へと解決(移動)するコード進行であるためです。
この「Ⅴ7-Ⅰ」進行を疑似的に起こす、つまりあるコードを仮にⅠと見立ててそこに向ってドミナントセブンス・コードを仕掛けるということです。・・・言葉だけで説明すると、難しさの煙が既に立ち込めてきたようですので下の譜例をご覧ください^_^;
次はこの入れ替えをやってみます。いわゆる「代理コード」です。今回は7つダイヤトニック・コードの中から選んでコードを入れ替える例を紹介します。
この他にも、コードを入れ替える方法には種類があり、ノン・ダイヤトニック・コードを使う方法(たとえばセカンダリードミナントや裏コードなど、ダイヤトニック・コードを少し変化させたものからダイヤトニック上に無い音をルートにしたコードを代理で使うなど)、やマイナーキーにおけるダイヤトニック・コードの使用法まで様々な可能性があります。これらについては順次採り上げてゆきます。
まず一番シンプルな代理コードからいきましょう。ダイヤトニック上に現れるコードのみ使って、その「機能」が同じものを入れ替えるというアプローチです。
ここからはダイヤトニックコードを使って実際の楽曲やコード進行の例を見ながら、コードについての基本的知識を獲得するとともにそれを「使える」ようにする発想の仕方を学んでゆきましょう。
必要な方は、ダイヤトニックコードとは何かについておさらいしておきましょう。
当シリーズの(18)「音楽の種明かし!?」でお話したように「ファンクショナル・コード(機能和声)」という考え方を手に入れたなら、楽曲の展開つまりコード進行などの大まかな曲構成がどんどん分かるようになってしまいます。なぜなら、どんなキーの曲も同じⅠⅡⅢといった数字で位置を表したコードによって捉えなおせるため、コード進行や各コードの使われ方のパターンが丸見えとなり、簡単に理解出来るようになるからです。
そして様々曲を見てみると、キーが違うだけで、コード進行の中身はよく似ている、いやまったく同じという場合も少なくありません!
メジャーキーのダイヤトニックコードを全て弾いてみようということで進めてきました「ダイヤトニックコードの実際」シリーズ、⑥弦ルートのコードフォーム最終回です。
※⑤弦ルートのコードフォームと④弦ルートのコードフォームを含む全コードフォーム基本型は以下をご参照ください。
ダイアトニックコードの実際①:④~①弦コードフォーム(前編)
ダイアトニックコードの実際②:④~①弦コードフォーム(後編)
ダイアトニックコードの実際③:⑤~②弦/⑤+③②①弦コードフォーム(その1)
ダイアトニックコードの実際④:⑤~②弦/⑤+③②①弦コードフォーム(その2)
ダイアトニックコードの実際⑤:⑤~②弦/⑤+③②①弦コードフォーム(その3)
ダイアトニックコードの実際⑥:⑥~③弦/⑥+④③②弦コードフォーム(その1)
ダイアトニックコードの実際⑦:⑥~③弦/⑥+④③②弦コードフォーム(その2)
ダイアトニックコードの実際⑧:⑥~③弦/⑥+④③②弦コードフォーム(その3)
前回に引き続き、⑥弦ルートのコードフォームで弾くメジャー・ダイヤトニック・コード全キー版(その2)です。さっそく見てみましょう。
引き続き、⑥弦にルートをとったコードフォームでメジャーキーのダイヤトニックコードを全て弾いてみるという内容ですが、今回はC、G、D、Aのキーの場合を見て行きます。⑥弦ルートのコードフォーム基本型として、ここでは「②③④弦+⑥弦」のフォームと「③~⑥弦」のフォームの2つを紹介しています。
※⑤弦ルートのコードフォームと④弦ルートのコードフォームは以下をご参照ください。
ダイアトニックコードの実際⑤:⑤~②弦/⑤+③②①弦コードフォーム(その3)
ダイアトニックコードの実際④:⑤~②弦/⑤+③②①弦コードフォーム(その2)
ダイアトニックコードの実際③:⑤~②弦/⑤+③②①弦コードフォーム(その1)
ダイアトニックコードの実際②:④~①弦コードフォーム(後編)
ダイアトニックコードの実際①:④~①弦コードフォーム(前編)
知識ゼロからのギターコード攻略シリーズ第21回、22回、そして今回23回で「⑤弦~②弦」および「⑤+③②①弦」の基本的なコードフォームによるダイヤトニックコードの全てを紹介しています。今回はキーAbから完全5度上(完全4度下)にあたるキーとなるEb、Bb、そして最後にFを見てゆきます。
前回から3回に渡って、⑤弦~②弦および⑤弦+③②①弦の、セブンスコード基本フォームを扱っています。キーCメジャーから始めて、各調7つのダイヤトニックコードを実際に押さえて鳴らし聴いて確認するというのが目的です。前回はC、G、D、Aと来ましたのでその続きです。
前々回、ダイアトニックコードの実際①:知識ゼロからのギターコード攻略(19)で紹介した基本コードフォームのうち、⑤弦がルートになっているものを図で示してゆきます。当然、キーが異なるだけで押さえ方は同じコードが続きますが、各キーごとに一つひとつ実際に鳴らしてよく味わいながらダイヤトニックコードの実際を身につける一助としてくだされば嬉しいです。ではさっそくCのキーから、順に#を一つずつ付けた(完全5度上の)キーを見てゆきましょう。
第19回目となるこのシリーズ「知識ゼロからのギターコード攻略」ですが、(15)(16)(17)(18)では、音楽の楽曲の中身がどのようになっているのかというその秘密がここにあるということでダイアトニックコードについて見てきました。
さあ、ここからはギターで実際に全てのダイアトニックコードを鳴らしてみて、サウンドと押さえ方で確認してゆきましょう。ここでは最もギターで使われるコードフォームの中から整理して紹介してゆきます。なお、コードの押さえ方の可能性は他にもまだまだ考えられるわけですが、実用性を重視した基本のフォームが次の5つのパターンだとご理解ください。
「④~①弦のコードフォーム」
「⑤~②弦のコードフォーム」
「⑤+③②①弦のコードフォーム」
「⑥~③弦のコードフォーム」
「⑥+④③②弦のコードフォーム」
それでは、最初に「④~①弦のコードフォーム」を弾いてみましょう。#もbもついていないシンプルなキーC(メジャー)のダイアトニックコードから見てみましょう。
「音楽のタネあかし」と題してダイアトニックコードをシリーズで(①、②、③、④)取り扱ってきましたが、 今回でまとめたいと思います。
ダイアトニックコードは音楽理論ではローマ数字であらわすことがあります。これは「度数(degree)」を示すためで、ダイアトニックの1~7のコードは、下図のようにⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦにサフィックス(コードの種類)を付けたものになります。作曲などにとても便利な表現方法なのでぜひ覚えましょう。
前回はダイアトニック上の7つの音の名称とコードを挙げました。メジャースケールというⅠ種類の音階から導き出される基本コードがどういったものなのか既に明らかになったということでしたね。今回はその7つについてもう少し詳しく紹介したいと思います。はじめにコード動き方について補足を加えておきます。
前回の記事では、ダイアトニックコードそのものをとりあえず紹介しました。問題はそれをどのように使える知識として整理するのかですよね。
今回はダイアトニックスケール、ドレミファソラシ(ド)の7つの音について少し詳しく見てゆこうと思います。
まず、ここで例に取り上げるダイアトニックスケールですが、厳密には「Cのキー」の「メジャースケール」のことです。キー(調)というものはCだけではありませんし、7音のスケールもメジャースケール一つだけではありません。キーやスケールの種類については今後の記事にて扱います。ここでは最も代表的で分かりやすいCメジャースケールで説明してゆきます。
あなたは「ダイアトニックコード」をご存じでしょうか?ダイアトニックという言葉は古代ギリシアまでさかのぼるようですが、同じ系列の用語でペンタトニック、クロマチックなどという言葉があります。色々なスケールを練習している方ならおなじみかと思います。
曲づくりの基本でありコードを学び使えるようになる為の道しるべとなるのがこのダイアトニックコードだと言っても言い過ぎでは無いでしょう。ダイアトニックスケールから導き出せる基本コードのことなのですが、言葉では少々難しく聞こえますよね。
前々回(12)「四和音には覚え方作り方がある」で触れた、CMaj7の3つのコードフォームをもとに、前回とり上げた主なセブンスコードであるC7、Cm7、Cm7b5、Cdim7、CmM7、CaugM7を実際に作ってみましょう。そして何弦の音がどのように変化しているかよく見比べながら聴き比べながら鳴らしてみてください。
ところで、ここに出てくるコードは全て4弦構成です。5つの弦、6つの弦全てを鳴らすコードフォームでは表示しておりません。これは音の重複を避けて見やすくするためと、聞いたときの区別をしやすくするためでもあります。もし5つ6つの弦を使って、あるセブンスコードを鳴らしたい場合は押弦可能な音をさがして加えてみてください。
たとえばということで一つ示しておきます。
前回ご紹介した四和音であるMaj7は「ルート+長3+完5+長7」という音程でしたが、これ以外の「7」の付く四和音すなわちセブンスコードについて確認していきましょう。特によく聞く代表的セブンスコードというのはMaj7に加えて更に4つ、押さえておくのが良いでしょう。
ここからはメジャーセブンスやマイナーセブンスフラットファイブなどの四和音についてその作り方や使い方などを見てゆきます。
四和音というとき、三和音にもう一つの音が加わっている訳ですが、コード構成の基本は3度堆積でしたね(参考記事:知識ゼロからのギターコード攻略6)。ルート+3度+5度・・・一つ飛びで音を重ねます。5度の次にプラスするのが「7度」音程ということになります。
あなたは、せっかくギターを手にしたのだからいつかは自分の曲の1つでも作ってみたいと思ってないでしょうか?あるいは、ジャズをはじめ今や流行りの歌謡曲にさえ当たり前のように出てくるテンションコードを自在に使いこなせたらいいのにと思ったことがあるのでは?
これまでこのブログシリーズでは、三和音について、メジャートライアドを中心に解説してきました。次はいよいよ四和音です。
実はこの四和音を深く知るところに、上記のようなことが出来るようになる糸口があるのです。
四和音まで来ればあなたも変われます。それくらいこの四和音には音楽の仕組みや魅力についての秘密がたくさん詰まっています。そんな四和音もあくまで三和音という基礎の理解が不可欠であるのは言うまでもありません。三和音がまだ未消化状態だと思う方は前回までの記事をご参考に。
モーツアルトは3歳にしてトライアドを理解していたと言います。三和音の理解無しに四和音を学ぶことは土台のない家づくりのようなもの、ましてやテンションなどの微妙で甘美なコードの秘訣は永遠に霧に包まれたまま暗礁に乗り上げることでしょう。
ここまでに「4種類の三和音(トライアド)違いを見分ける聞き分ける:第7回」、「コードの中にあるトライアドのフォーム:第8回」、「トライアドを上手に転がす:第9回」、とメジャーを題材にトライアドを見てきました。ルートポジション、第一転回形、第二転回形と三種類の様相をもつトライアドでしたが、トライアドには更にもう一つの形があるのをご存じの方も多いことでしょう。今回のテーマはこちらです。
前回は、コードの中にトライアドのフォームが含まれているということで、5つの基本コードのうちG、C、E、Aのフォームについて見て行きました。今回はのこり一つのコード、Dのフォームを見てゆきます。このDだけなぜ別に扱ったのか?という理由にお答えしながら進めてゆきたいと思います。
Dメジャーの構成音は以下の通りです。
前回「4種類のトライアド」で紹介した三和音のコードフォームは、特にギター入門者にとっては馴染みの薄い、ひょっとしたら全く遭遇しないコードだったかもしれません。「こんなにいっぱいややこしいコードまで覚えないかんのか!?」と投げ出してしまう前に、ちょっとこちらをご覧ください。
:「Caug」 または「C+」「C#5」
「C」 または「CM」「Cmaj」「C△」
「Cm」 または「C-」
「Cdim」 または「C。」
前回までの記事で、音を捉える呼び名には「音名」「階名」「音程」があり、コードを扱うときには「音名」(CDEFGABC)と「音程」(1~8度)の理解がポイントだとお話しました。
今回は具体的な「コードネーム」を見てみましょう。
前回の「知識ゼロからのギターコード攻略(3)」では「何弦何フレット」という視点ではなく、「音名」と「音程(度数)」という視点でコードを捉えられるようにすることが鍵だとお話ししましたが、指盤上のどこに何の音があるのか、それがいったい何度なのか等々、どうすれば分かるようになるのでしょうか。というわけでここからは、音名と階名、そして音程。それぞれの違いを理解し意味を知ってギター上でどのように表れてくるのかを見てゆきます。
CDE~という「音名」は変わることの無い唯一の音の呼び方です。絶対音と言ったりします。そしてこれはコードを表す時にも使われます。これに対して「度数(音程)」や「ドレミ(階名)」というものは元になる音からの他の音までの距離を表しており、あくまで相対的です。同じCの音でも「ド」と読んだり「ファ」と読んだり呼び方が変わりうるわけです(これを「移動ド」唱法と呼ぶことがあります。いっぽう、絶対的な音名で歌う方法は「固定ド」と呼び両者を使い分ける場合があります。)。というわけで、絶対的に変わらない一つしかない音の呼び名をまず覚えるのが良さそうですね。コード攻略のためにはギターの指板上に、この「音名」が見える様にするということが重要と言えるのです。
前回お話した、ギターのコードで早い段階で覚えるであろうコード5つについておさらいしながら、今度はコードを見つめる視点について触れたいと思います。ギターの場合「どの弦の、何フレットを」という観点から入りやすいわけですが、押さえるべきあるいは鳴らすべき「その音は何の音?」という視点にシフトしてみましょう。
さっそく前回の5つのコードフォーム、C・D・E・G・Aを使って、説明してゆきます。まずCのコードですがそこで鳴っている音は以下の通りです。これはドレミファソラシドを弾いてみたことのある人なら別だん難しいこともないかと思います。